●質問
「好き」という気持ちがよくわかりません。好きとはどういう気持ちのことなのですか?
●回答
その人のために自分の時間を明け渡したいと思う気持ちのことを「好き」と呼ぶのだろうと思います。
好きって、たとえば、中学1年生くらいだと、男女で「好き?」「うん、好き」と言い合って、そのあと、なにをするといいのかわからないから、ぼ~っと空を見て、1週間もおなじことをすると飽きて、別れますよね?
高校生や大学生は、好きとセックスがごちゃごちゃになる年頃だから、「好きな彼氏がエッチしたいと言っているのだから、わたしはそれに応じないと」とか「好きという気持ちをエッチで伝えるためにフェラの練習をしなくては」などと思ったりしますね。
そして社会人になれば、「お金=愛の量」みたいに考える人が増えますね。
「わたしのためにブランドのカバンを買ってくれた彼氏=わたしのことを愛している=わたしも彼のことが好き」と、冷静に見れば、なぜ「=」でつながるのか不明なことを思いこんだりしますよね。
でも実際には、「好き」とは、その人のために自分の時間を明け渡したいと思う気持ち(そして実際にそうする行動)のことなのです。
好きな人に、わたしたちは、知らず知らずのうちに自分の時間を渡しますよね?
たとえば、残業で疲れて眠たくても、彼のことが大好きなら、終電で彼氏の家に行って、翌朝そこから出勤したりしますよね。
あるいは、男子だと、好きなパチンコやお酒を飲む時間を、大好きな彼女とのデートに明け渡すことがありますね。
反対に、彼女のことが好きなのに週末ごとにひとりで釣りに行く彼氏に対して、彼女は「わたしのこと、ホントに好きなの?」と聞きますね?
週末ごとに女友だちと遊びに行く彼女をお持ちの彼氏は「おれ、彼女に愛されているのかな?」とか「おれは本当に彼女のことが好きなのかな?」などと思ったりしますね。
『星の王子様』という本には「本当に大切なものは目に見えない」と書かれています。
本当に大切なものとは、たとえば愛です。
その愛は、相手に自分の時間を明け渡すことで成立しており、そのような態度を相手が感じることで成立しています。
時間とはなにか?
なぜか絶えず動いているもの、でしょう。今という時は「イマ」と発語したそばから過去になるのだから、時は動いていますね。
目に見えないものとは、時の動きです。
「今」愛しい人になにをしたいのか? 「する」というのは時間を食います。
たえず過去になる今という時間を惜しむかのように、愛しい人になにかをしてあげたいと思う――これが「好き」という気持ちではないかとぼくは考えます。